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【キーンバウム・エグゼクティブサーチ】スペシャリスト 不足が経済成長の足かせに。企業が今すべきことは何か?

産業部門のエグゼクティブサーチ

ドイツ企業は、十分な能力を備えたスペシャリストやマネージャーの不足に脅かされている。しかしこの問題は、事実上ずいぶん昔から存在する。この問題は今すぐビジネスの成功に悪影響をもたらすものではないが、対策は「今すぐ」行うべきだ。ドイツ産業界の現
状を紹介する。

最近、メディアは資源不足を報道している。一晩で一気に有名になったスエズ運河についての報道は、そこに現れたのと同じくらい突然、また見出しから姿を消した。しかし、以前は安全であると信じられていたグローバル・サプライチェーンが、以前に想像できたよりもはるかに脆弱であるという問題は、未だに残されている。

その間にも、不快な他の問題が規則的に報道されている。つまり、半導体や資源不足、そして昨今信頼できる早期警報システムの稼働についての報道である。そして、これらはもはや経済ニュースの端に載るものではなく、トップ扱いの大ニュースなのである。

たとえば、BMWは最近、調達プロセスが多様化したにもかかわらず、部品調達難で複数の生産施設①が稼働停止に追い込まれた。重要な品が手に入らないことがどれほど危険か②、ということを理解するには、深い研究は必要ないだろう。しかし、ドイツの産業界にとって最大の、または唯一の顕著な課題はこの「不足」のみなのだろうか。

能力不足は中期的なリスク

顧客との日々の交流の中で、管理職やスペシャリスト不足の範囲と実際の関連性は明らかに顕著ではあるが、短期的には必ずしも危険ではないことが明らかになっている。我々の認識では、経済危機の予言者が繰り返し報じているように、企業の存在基盤がこの場で急に脅かされることはない。

しかし多くの場合、中長期的には基本的な脅威となり得ることはよく確認できる。その場合、広範囲の影響ではなく、どちらかと言えば初歩的なポジションで痛みを感じる傾向がみられる。

平均すると、生産能力が十分に発揮され、注文数が多いにもかかわらず、多くの場所で、材料や人材のどちらか、または両方の不足により、長期的にビジネスを成功させることができないという懸念が高まっていると言える。人材不足は、多くの中規模(家族経営)企業(いわゆるミッテルシュタント)にとって特に深刻で、それらの企業は一般的にベルリン、ハンブルグ、ミュンヘンなどの都市部ではなく、ドイツ南西部(シュヴァーベン・アルブ、黒い森地方)やルール地域東部(ザウアーランド)などの山岳地方に拠点を置いている。

KfW-ifoのスペシャリストバロメーターは、この主観的な観察を裏付けている。これによると、ドイツの全企業の23.7%が、2021年4月時点でスペシャリスト不足が深刻または潜在的であり、その影響を受けているという。この傾向は急激に上昇し続けており、第2四半期にはスペシャリスト不足の大幅な増加が見られた。とりわけ中小企業、ミッテルシュタントの製造業が大企業に先駆けて影響を受けている。キーンバウムは常にミッテルシュタントに焦点を置いたビジネスを展開してきたため、これらの企業のニーズを非常に具体的
に受け止めている。

スペシャリストやエグゼクティブを引き付けるため、中小企業に向けてアドバイスをする場合、次のことが言える。つまり、中小企業はもっとオープンなコミュニケーションを行い、企業が提供するものをはっきりと示す必要がある、ということだ。階層のないフラットな組織は多くの管理職や優秀な若手にとって魅力的である。一方で、多くの企業が持つマルチマトリックス組織が抑止力になっていることも事実である。また中小企業は通常、優れた(そして短期的な)自己開発の機会、安定した雇用、より低い住宅費、より良い育児環境、その他多くを提供している。

しかし、正直に言うと、すべての企業が新入社員のニーズに対応しているわけではない。コロナのパンデミックをきっかけに確かに多くのことが行われた。中でも目立つのは、在宅勤務、ワークライフバランスを始め、フィットネスジムのメンバーシップや社用自転車、ニューワークの雰囲気などのより近代的なメリットである。最後になったが、現代的なリーダーシップの文化は魅力的である。これらは通常、強固に構造化された大企業よりも、アジャイルな中小企業の方がより迅速に実行可能であろう。しかし、ここでも強調しておきたいのは、こうした文面では一般化された方法でしか論じることができないが、企業は常に個別のソリューションを必要とする、ということである。

重要なポジションの採用はますます困難に

産業分野に特化したコンサルタントによる数多くのエグゼクティブ・サーチの任務を通じて、私たちはクライアントの最大の課題がどこにあるのかを身をもって体験している。例を挙げれば、単独ではなく戦略的に行動するITエグゼクティブのサーチのサポートなどである。また、エンジニアリングやオペレーション部門の人材についても、「古き良き時代」と違い一人で簡単に採用できるものではないため、サーチ需要が高い。さらに、特定の財務担当者などの補充プロセスは、社内での問題にもつながる。業界に精通したセールス・ストラテジストを一人で見つけるのは難しいし、マネージング・ディレクターのポジションでさえ、最近ではかなり苦労しなければならない企業もある。グローバルな視点で見ると、スペシャリストの不足に関して、産業界の企業には2つの重要な事実が指摘できる。

1. 特に製造業界において、スペシャリスト不足の影響を受けているのは大企業(22.9%)
よりも中小企業(24.1%)③である。

2. ドイツでは、リモートワークによりピークを補うことができたが、コロナの影響で質
の高い移民の獲得ができなかったため、コロナ後のスペシャリスト確保のための戦略
が必要である。

具体的な業界のニーズを細かく見ていくことは興味深い。クライアントの個々の特性に最適な形で対応できるよう、キーンバウムでは産業界のクライアントに特化したセグメント④を構成している。中でも特に顕著な例として、優れた市場展開をしている技術的な建築設備をここに紹介したい。

技術的建築設備は過渡期に:機会と課題

NRW州のイナ・シャレンバッハ建設大臣は、ドイツ初の印刷技術を用いた住宅を、ベックムという小さな町に建設した。これは、急速に進むこの業界の近代化を象徴するものである。建築プロセスの新しさに加えて、家の内外でハイテクを利用する全く新しい方法も目を引く。これまでとまったく違う建築の論理から、あらゆる機器の設置が可能となり、改良のチャンスが生まれる。

建物の暖房システム、換気システム、電力供給システム、さらには太陽熱エネルギーや太陽光発電のシステムの設計における技術革新は、将来的に生活をより持続可能でエネルギー効率の高いものにする。スマートホームソリューションのブームが続いていることもあり、クライアントは、特に新製品の開発、製品ラインのデジタル化、顧客グループの継続的な期待の高まりへの対応という課題に直面している。

このような状況の中、新しいトレンドではないが、建築計画におけるローテクアプローチの重要性が高まっている。高度に圧縮された形で、メンテナンスフリーの建築方法によって同じ役割が果たされる⑤のであれば、技術的なソリューションは必要なくなる。

企業はどのように組織を編成したら良いのか

このような多次元的で複雑な課題には、企業の各部門間の最適な協力関係が必要だ。研究から製品開発、IT、生産に至るまで、コミュニケーションの仕組みや効率的なプロセスに加えて、特に一つの要素が必要だ。それは、組織のバックボーンである従業員としての「人」が、可能な限り十分な訓練を受け、組織文化的にも適切であることに他ならない。

最後に、このような業界の動きは、良好な経済状況の持続によって強化されており、多くの企業が「記録的な年」を更新し続けている。しかし、このような状況は、恒常的な生産能力のボトルネック、従業員への高い負担、そして時には、納期の遅れや品質問題、さらには(前述の過負荷問題による)従業員の変動など、さらなる問題の発生という代償を伴う。結論として、現時点では、前述の「二重の不足」により、多くの場所でイノベーションや開発、それに伴う新たな市場環境への対応が急務となっている。プロセス、戦略、適切な人材など、多岐にわたる。人に関わるバリュー・チェーンに沿ったあらゆる課題において、私たちキーンバウムは全力でサポートする準備がある。
【注釈〉】
1 https://www.t-online.de/auto/id_90509286/wegen-chipmangel-bmw-stoppt-produktion-in-weiterem-werk.html
2 https://www.spiegel.de/wirtschaft/industrie-deutsche-produktion-sinkt-ueberraschend-a-d10868ab-06b6-47f7-8f38-c26191084019
3 https://www.kfw.de/PDF/Download-Center/Konzernthemen/Research/PDF-Dokumente-KfW-ifo-Fachkr%C3%A4ftebarometer/KfW-ifo-Fachkraeftebarometer_2021-06.pdf
4 https://www.kienbaum.com/de/branchen/industrial
5 https://www.bbsr.bund.de/BBSR/DE/veroeffentlichungen/zukunft-bauen-fp/2020/band-21-dl.pdf?__blob=publicationFile&v=3

【執筆】
MICHAEL SEITZ
CONSULTANT | EXECUTIVE SEARCH | KIENBAUM CONSULTANTS INTERNATIONAL
TEL.: +49 211 96 59-195
michael.seitz@kienbaum.de
DR. FREDERIK GOTTSCHALCK
DIRECTOR | EXECUTIVE SEARCH | KIENBAUM CONSULTANTS INTERNATIONAL
TEL.: +49 221 801 72-533
frederik.gottschalck@kienbaum.de

本記事はニュースレター2021年No.5に掲載されたものです。ニュースレターは下記よりご覧いただけます。
https://media.kienbaum.com/wp-content/uploads/sites/13/2021/10/Newsletter_No_5_2021_JP.pdf 
オリジナル記事(ドイツ語):https://www.kienbaum.com/de/blog/wie-der-fachkraeftemangel-zurwachstumsbremse-wird-und-was-firmen-tun-koennen/
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全世界4大陸に計22の拠点を持つドイツ最大手、ヨーロッパ有数の人事およびマネジメントコンサルティング会社。創業以来75年以上、クライアント企業との信頼関係を基礎に、組織における人材の能力を最大限に引き出すことを目標とする総合的コンサルティングを提供。

【キーンバウム・ジャパン】
キーンバウムのコンサルティング業務のノウハウを活かし、日本におけるエグゼクティブサーチを目的に設立。豊富な海外ビジネス経験を背景に、クライアントのニーズを徹底的に把握し、一貫した信頼関係の中で候補者を絞り込む。雇用契約締結だけでなく長期的な人材コンサルティングのパートナーであり続けることを目標とする。https://international.kienbaum.com/japan/

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